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「女性は痛みに強い」はウソ! 我慢せずにセルフケアで痛みを解消

女性の心と体のセルフケアに的を絞った啓蒙団体「NPO法人日本ホリスティックビューティ協会(HBA)」が主催する「Holistic Beauty Life 2017」。3回目となる今年は「美は知性~セルフプロデュース力を手に入れよう~」をテーマに、9月9日(土)、10日(日)の2日間にわたって表参道(東京都港区北青山)にあるTRUNK(HOTEL)開業準備室で開催されました。

会場には身体に嬉しいオーガニックコスメや発酵食などの販売ブースが設けられたほか、セルフプロデュース力を高めるためのワークショップ、各界のスペシャリストによる自分自身を知る方法やセルフケアに関する知恵を教えるトークショーなどが開かれました。

その中から今回お届けするのは、産婦人科医・対馬ルリ子さんとHBA代表理事・岸紅子さんによるトークショー「女性特有の痛みによるプチ不調ケア」です。

デスクワークによる肩こりや、冷えによる関節痛、月経痛、頭痛、腰痛など、女性を悩ませる痛みはさまざま。「病院に行くほどではないけれど、なんとなくツラい…」という痛みに困っている女性も多いですよね。対馬先生のクリニックにも、そんな痛みを抱える女性がたくさん駆け込んでくると言います。

では、その痛みの原因とはいったい何なのでしょうか? 対馬先生は、痛みとは通常、ケガなどによる組織の損傷、あるいはアルコールなどの強い侵害性の刺激によって引き起こされるもので、多くの痛みは不快な感覚と感情を伴うほか、情緒の不安定や、体温調節や心臓の調律、胃腸の調子など自分の意志とは関係なく体の機能をつかさどっている自立神経の反応までも引き起こすと説明します。

また、「女性は痛みに強い」とよく言われますが、決してそんなことはなく、前述した痛みに加えて陣痛、骨盤痛、骨粗鬆症による痛みなど、女性の方が男性より圧倒的に痛みにさらされる機会が多いのだとか。その原因は男性と女性とではホルモンの働きが違うからで、男性に比べて月経、更年期、産後にホルモンが激しく変動する女性は、それによりメンタルも不安定になりやすく、また痛みも感じやすいのだとか。普段から緊張しやすい人はより痛みを感じるとも話していました。思い当たる人がいるのではないですか?

ここで、多くの女性が苦しんでいる月経痛にフォーカスします。月経とは、約1カ月の周期で起こる生理的出血ですが、ただ出血しているわけではありません。妊娠に至らなければ不要となる子宮内膜が子宮壁から剥がれ落ち、月経血として体外に排出されるのですが、この子宮内膜は細胞や毛細血管、分泌腺などが含まれた組織であるため、それらが断裂するときに痛み物質「プロスタグランジン」が分泌されるのだそうです。

そして、この痛みがある人は要注意。なぜなら、月経痛がある人はない人に比べて2.6倍も「子宮内膜症」になりやすいというデータが出ているからです。そして、重度の痛みを感じる人は「チョコレートのう胞」が既にできているかもしれません。「子宮内膜症」とは、本来、子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜組織が子宮以外の場所にでき、月経期に剥離・出血を繰り返すというもの。不妊の原因になるとも言われていますが、「チョコレートのう胞」はそれが卵巣にでき、剥離・出血によって溜まった月経血が貯留してチョコレートのようになるもので、卵巣がんの原因になり得るのだとか。実は、岸さんもこの症状に悩まされた一人。対馬先生曰く「チョコレートのう胞によって卵巣が5センチ以上になったら破裂する可能性がある」ところ、岸さんの卵巣は両方とも9センチまで肥大し、担当医師は「もうちょっとで破裂しましたよ」と驚かれたそうです。こういった経験があるからこそ、岸さんは女性のセルフケアの重要性を謳っているのですね。対馬先生も「超音波で卵巣を見ることは簡単だから」と、定期的に検診を受けることを勧めていました。

さて、それではここからが痛みの対処法です。簡単なのは痛み止めを飲むことですが、全身や痛い箇所を温めること、休む・寝るなどして体が楽な状態を作ること、適度な運動やマッサージをするなどのフィジカルケアのほか、ストレス解消してリラックスすること、自分にとって癒しになることを行うこと、暖かい励ましの言葉をかけてもらうことなどメンタルケアも有効なのだそうです。ピルの服用も経血を減らし体調とメンタルを安定させるのでいいそうですよ。

さらに最近は、微弱な電流によって、筋肉をゆるめ、コリや痛みを緩和させる低周波治療にも注目が集まっており、対馬先生は自身も仕事の疲れを和らげるために試してみたという低周波機器を紹介してくれました。この低周波機器をコリや痛み、生理痛に悩むモニターに使用してもらったところ、84%の方の月経痛が軽減したという調査結果が出ています。薬の服用には抵抗がある女性も多いですから、このように外から痛みを緩和させる方法はとてもいいですね。岸さんも、「痛みを緩める」をキーワードにしたホームケアを積極的に取り入れることを呼び掛けていました。

最後に対馬先生は、「日本の女性は世界一長寿だけど世界一大変。こんなに頑張っているのに我慢している人が多いから、もっと自分が楽になる方法を開発して、快適な人生を歩んでほしい」とエールを送っていました。もちろん、自分ではどうしようもないときは、専門家へ相談を。それ以前に、自分をよく知る上でも普段からきちんと検診を受けることが大事なのかもしれませんね。

岸さんも「もっと自分を愛してあげてください」と力を込めて訴えていました。自分を愛することができれば他人も愛することができ、そこには調和が生まれ、人生が豊かになる。それは辛い経験を乗り越えた岸さんだからこそ出てくる言葉ですよね。今日をきっかけに自分自身を見つめ直し、キラキラと輝く素敵な人生を送るためにも、セルフケアを日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

Rhytm

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