医療は時代とともに進歩しています。昔は「不治の病」と言われた病気も、現代では治療可能なものもあります。
そして驚くことに、今では切断された指も生えてくる魔法の粉があるそうなのです!ここでは「妖精の粉」と呼ばれる、細胞外マトリックスについてご紹介します。
ピクシーダスト(妖精の粉)
指を切断した男性
「指を切断」と聞いただけでヒョオッ!となりますね・・・ホビーショップで働くリー・スピーバクさんは、ある日模型の飛行機のプロペラにうっかり指を入れてしまい、指を切断しました。
指は1cm以上切断され、またその部位もどこかへ行ってしまったそうです。これでは縫合手術もできません。写真には切断面はくっきりと写っていて、医師からは一生このままだと言われてしまったそうです。
送られてきたパウダー
スピーバクさんの兄弟で、器官再生に関する薬剤分野で働いたアランさんはそのことを知り、スピーバクさんのもとへあるパウダーを送りました。それが「ピクシーダスト(妖精の粉)」です。
スピーバクさんは毎日そのパウダーを指につけました。すると、つけて2日目にして指が再生していると実感できたのです!指は毎日少しづつ再生していき、そしてとうとう4週間ほどで完全に元通りになったのでした。
細胞外マトリックス
この「ピクシーダスト」は、アメリカのピッツバーグ大学の研究室で開発されたもので、そこでは細胞外マトリックスと呼んでいます。
なんとこの細胞外マトリックスは、豚からできています。豚の膀胱の層になった部分の細胞をこすり落とし、残りの細胞組織は酸に漬けてその後乾燥させます。シート上にしたり粉末状にしたりできるそうです。
人の身体には、細胞組織の再生にいいとされるシグナルがあります。細胞外マトリックスはそのシグナルを刺激するので、細胞を再生させる働きがあるそうです。
日本では不認可
現在ではまだまだ臨床実験の段階で、日本では取り入れられていません。指先程度の再生は確認されましたが、根本から切断された指は1cmほどしか戻らなかったそうです。
しかし、この研究が進めば、大やけどや臓器の損傷も治療できるようになるかもしれないそうです。「10年以内には、骨とその周囲の組織も再生できるようになるのでは」とも言われています。
おわりに
細胞を再生できる「妖精の粉」。まだまだ実用段階ではないにしろ、とても大きな希望です。ここまで医学が進歩しているのに驚きですね。いつかこの粉が世界中ですごい力を発揮することを願うばかりです。