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「Sっぽい男」と「Mっぽい男」 今の時代に有利なのはどっち?

ドS王子様系男子×引っ込み思案な控えめ女子」または「女王様キャラのドS女子×振り回されまくる草食系男子」なんてカップルが漫画やドラマで定番となりつつある現在、「S」「M」という言葉はもはや日常用語として市民権を得ているといえそうです。男女の「もつれ」を遺伝子学的に解明していく「アダムとイブのもつれる遺伝子」第4回で焦点を当てるのは、この「Sっぽさ」と「Mっぽさ」。Sっぽい性格、Mっぽい性格と遺伝子は、一体全体どう関わってくるのでしょうか? 生命情報学がご専門の国際医療福祉大学助教、筒井久美子(つつい・くみこ)先生に教えていただきます。

「ドS遺伝子」「ドM遺伝子」と呼べるものが存在する

よく「あの人ってSだよねー」「私、ちょっとMっぽいんだー」などと言いますが、そういう時のイメージは「S=他人に無体を強いることに快感を覚える」「M=痛いのが気持ちいい」という感じではないでしょうか。でも、よくよく考えると、これってなんだか不思議な嗜好ですよね。生物である以上、苦痛は最も避けたい超重要事項のはずですから。一体どういうメカニズムで「Sっぽい性格」「Mっぽい性格」が生まれるんでしょうか。
実は、人間の身体には「Sっぽい遺伝子」「Mっぽい遺伝子」と呼べるものがあってそれぞれ「Sっぽい人格」「Mっぽい人格」を形成するのに寄与しているんです。

日本人の97%はM気質!?

まずは「Mっぽい遺伝子」の方から見ていきましょう。「Mっぽい遺伝子」と呼べるのは、セロトニントランスポーターという、神経伝達物質「セロトニン」の運び屋。巷では「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンですね。
このセロトニントランスポーターにはLL型、SL型、SS型の3種類があって、子どもは両親からそれぞれS型、またはL型を受け継ぐことになります。ここでS型を受け継ぐと、不安に駆られやすくなる繊細な性質を持つのですが、なんと日本人の97%はSL型、SS型のいずれかだといわれているんです。このため、日本人はガツガツしないし、なかなか自己主張できない人が多いんですね。遺伝子レベルで草食系なわけです。
一方、欧米では3、4割がLL型。そのため、欧米の人々の多くは物怖じしませんし、ガツガツこられても頓着しません。ところが、日本では、エネルギッシュなLL型の人は変わり者のように思われるんです。

「Sっぽい遺伝子」があると猟奇的な性格に

「Sっぽい遺伝子」と呼べるのは、MAO遺伝子です。これが変異していると、セロトニンやドーパミンを正常にコントロールすることができず、攻撃的・猟奇的な性格になるとされています。男性ホルモンであるテストステロンや、アドレナリンも大量に放出されるんです。
これは、男性のみならず女性についても検証されています。女性の平均値よりもテストステロン値が高い場合、攻撃的になりやすいのです。最近よく取り沙汰される、妻から夫へのDVなどもこれで説明できますね。
また、「Sっぽい遺伝子」を持つ人の多くは反社会的な行動をする傾向にあります。「人と違うことをしたかった」「自分は特別なんだと誇示したかった」という、自己顕示欲丸出しの言い訳をするんですね。もしかしたら、これも第1回の「男の浮気は“本能”と無関係であることが判明」で取り上げた「男が浮気する理由」につながるのかもしれません。

「Sっぽさ」は外見からでも見分けられる

テストステロンの多い人が「Sっぽく」なりやすいことを考えると、外見からでもある程度見分けられるんです。手の薬指を見てください。男女問わず、テストステロン値の高さは薬指の長さ、鼻の大きさ(特に目の横の骨の高さ)、生殖器の大きさに比例します。人差し指よりも薬指の方が長い場合、テストステロン値が高い、いわゆる「男らしい」性格だと推測されます。

淘汰を勝ち抜いた「Sっぽい遺伝子」

「こんなアブない遺伝子がなんでこの世に存在するの?」と思われるかもしれませんが、実は「Sっぽい遺伝子」は、昔々そのまた昔、魚であった頃から保存されている遺伝子なんです。理由としては、縄張り争いで勝ち抜くために、攻撃的であった方が生き残りやすかったからではないかと考えられます。「Sっぽい遺伝子」は、生物が生存していく上では非常に強力な遺伝子なんです。
ただ、文明化された現代では、繊細で我慢強い「Mっぽい遺伝子」の方が適応しやすいといえるでしょう。“S系キャラ”にはくれぐれもご注意を。

 

 

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