早くもコンビニの「おでん」商戦が始まったようですが、各社ともにウリは「地域密着」と「こだわり」。他にもキリンやマクドナルドが、この2点を追求した商品を売り出して好評を得ています。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で、店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは、これら人気商品から「時代のトレンド」について分析しています。
コンビニ各社の「おでん」商戦からわかる時代のトレンドとは
暑い日が続いていますが、コンビニ各社では早くも「おでん」商戦が過熱しています。
セブン-イレブンでは、9月1日から4日までの4日間限定で「70円セール」を実施します。ファミリーマートでは8月26日から27日までの2日間限定で「70円セール」を実施します。ローソンでは「ご当地限定だしつゆ」のこだわりを前面に出して勝負しています。
コンビニ各社はおでんによる集客を図るために独自性を打ち出すことに余念がありません。特に、「だし・つゆ」を地域によって変えることで「地域密着」と「こだわり」を訴求しています。
コンビニ大手3社の「おでん」戦略
セブン-イレブンは全国を8つの地域に分け、地域性のある「だし」を活かした味わいに仕上げています。たとえば、関東では「かつお節・昆布・宗田かつお節」のだしとなっていますが、関西・北陸では「昆布・牛・鶏」のだしとなっています。
ファミリーマートは7つの地域に分け、地域ごとに馴染みのある味わいに仕上げています。たとえば、北海道・東北では「かつお・昆布をベースに、煮干しだし・貝の旨みが含まれた濃厚なつゆ」ですが、中国・四国では「煮干しだしの味わいと丸鶏のコクと旨みが効いたつゆ」です。
ローソンは9つの地域に分け、各地域の嗜好に合わせたつゆを用意しています。たとえば、東海では「むろあじ節」ですが、沖縄では「豚足のだし」です。
地域の特色を生かすことに成功している事例
コンビニ各社のおでんに見られる「地域の特色を生かす」ことは今の時代のトレンドとなっています。これはおでんだけではありません。キリンは47都道府県ごとに味の違いや個性を楽しめる「47都道府県の一番搾り」を販売しています。5月、6月発売分の受注が年間販売額予定の2倍になるなど好調に推移しています。
マクドナルドは国内の地域名産食材を使った期間限定の商品が業績回復に貢献しました。2月には国産はちみつと瀬戸内レモンの果汁を使用した「マックシェイクはちみつレモン」、3月には北海道ミルクを使用した「北海道ミルクパイ」、北海道あずきと宇治抹茶を使用した「マックフルーリー 宇治抹茶あずき」、5月には愛媛県の“甘夏”を使用した「マックシェイク甘夏みかん」、6月には宮崎県の「日向夏(ひゅうがなつ)」を使用した「マックフルーリー日向夏チーズケーキ」、 沖縄県の「パイナップル」を使用した「マックシェイク沖縄パイン」を販売しています。
消費者の嗜好は多様化しています。また、「地方創生」が表すように、地方・地域を志向する流れが加速しています。地域の特色を生かしていくことが今後のビジネスのカギとなりそうです。